追う営業から「見つけてもらう」仕組みへ。インバウンドマーケティング実践の5ステップ

こんにちは、FitDesign株式会社の代表・中川 岬です。

「飛び込み営業がつらい..!」「テレアポがつらい..!」
「異業種交流会で、作り笑顔を2時間続けて、もう限界です!」

世の中には、ゴリゴリの営業を得意としている人や、会社さん、たくさんあります。すばらしい成果も上げられています。

でも、日本人は内向的な方が多いので、「ゴリゴリ営業が得意です!!!」という人は少ないのではないでしょうか。(わたしは、飛び込み営業の経験がありますが3ヶ月で挫折しました 泣)

もし、お客さんの方から自社に駆け寄って来てもらえたら、もう最高ですよね!←これ、「インバウンドマーケティング」って言います。

※ちなみに、この「インバウンド」は「外国人観光客向けのビジネス」のことではないので、その点だけはじめにお伝えしておきますね!

今日は、ゴリゴリ系のアウトバウンドマーケティングと、じっくり系のインバウンドマーケティングの違い、そしてその具体的なやり方をわかりやすく解説します。

「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」の違いとは?

まず、この2つの違いを「恋愛」にたとえてみましょう。

・アウトバウンドマーケティングは「街でのナンパ」
・インバウンドマーケティングは「いつでも相談に乗るよ」とサブポジションをキープしている男性です。笑

(恋愛相談をしていたら、その相手と付き合ってしまった、本当によく聞く、古からの手法ですね。)

アウトバウンドマーケティングとは

アウトバウンドマーケティングは、プッシュ型の販促です。例えば、テレアポ、飛び込み営業などのゴリゴリ系から、フォーム営業やメール営業などのデジタルアプローチ、テレビCM、WEB広告などの広告系までたくさんの手法があります。

これらに共通することは、企業からターゲットに「強制的に情報を届ける」ということです。YouTubeを見てたら、突然広告が始まる〜なんてまさにそうですね!

デメリットは、興味のない人には「今、好きな動画を見てたのに!ちょうど良いところだったのに!」とストレスに思われる側面でしょうか。また、お金(広告費・人件費)の投下をストップしたら、すぐに効果もストップしてしまいますね。

インバウンドマーケティングとは

アウトバウンドマーケティングが、プッシュ型の販促だったのに対し、インバウンドマーケティングは、プル型の販促です。魅力あるコンテンツをブログやSNSなどで発信することで、潜在顧客に見つけてもらい、段階的に顧客化するマーケティング手法です。

この手法は「お客さんのほうから、こちらの世界に入ってきてもらう」ので、心理的に楽だと思います。しかし、コンテンツづくりそのものに時間がかかり、効果があるまで時間もかかります。(おおよそ半年と言われています)また、コンテンツの作り込みの方向性が間違っていると、すべての努力が水の泡です。。
(↑わたしは、ここがいちばん怖いなぁと思っています。)

コンテンツは作って公開しておくと24時間営業マンとして働いてくれますので、お金(広告費・人件費)の投下をやめても、効果は維持し続けてくるところがメリットですね。

項目アウトバウンド
マーケティング
インバウンド
マーケティング
手法企業から顧客へPUSU型顧客が企業をPULL型
効果が出るまでのスピード感早い
(お金と効果が比例)
遅い
(お金と効果が比例しづらい)
費用対効果お金と効果が比例しやすいお金と効果が比例しづらい
資産性お金を止めると、効果も停止お金を止めても、効果は維持される
具体的なやり方テレアポ、飛び込み営業、フォーム営業、テレビCM、WEB広告SNS、オウンドメディア、メルマガ、セミナー

なぜ今、インバウンドマーケティングが熱い?

理由1:情報大爆発! 人々は広告に疲れた

「現代人は、江戸時代の人が一生で触れる情報量に1日で触れている」と昨今、言われています。ただでも、情報が溢れかえっているなか、意図しないタイミングで、求めていない情報(広告など)が入ってくるのは、大きなストレスになるでしょう。テレビCMをスキップしたり、広告を表示しないためのプランに入ったりする人は多いことは、それを意味していると思います。

理由2:人々は自分で情報を探せるようになった

例えば、少し大きめの買い物(家電など)を買うとき、自分で検索し、比較評価し、決断するようになりましたよね。口コミを読んだり、使用感レポートの動画を見て、実際のところは?と、個人個人が情報の信憑性を見極める能力がつきました。

ある調査では、「BtoCの買い物では購入タイミングまでに約90%、BtoB(法人取引)でも購買プロセスの57%が、問い合わせる前にすでに終わっている」と言われています。つまり、選ばれるための情報をネット上に置いておかないと、検討の土俵にすら上がれない、ということです。

理由3:高い効果を見込めるから

マーケティング大手のHubSpot社によると、「インバウンドマーケティングは、アウトバウンドに比べて3倍のリード(見込み客)を、62%少ないコストで取得できる」という調査結果を発表しています。

具体的にどうやって「しくみ」を作るの?やり方5ステップ

【1】ペルソナ(理想の顧客像)を明確にする

まずは「誰に届けるか」を明らかにしましょう。1人の具体的な人物像(ペルソナ)に落とし込みます。
年齢や職種だけでなく、「どんな悩みを持っているか」「どんなキーワードで検索しそうか」「日常的にどの媒体(Instagram、Xなど)を使っているか」を明確にします。

ここがブレると、この後作るコンテンツが誰にも刺さらないものになってしまいます。(最重要です)

【2】顧客の検討プロセス(購買フェーズ)を設計する

ペルソナが自社を知り、購入に至るまでの感情と行動を段階ごとに書き出します。(これをカスタマージャーニーマップと言います)以下の4ステップで考えると良いでしょう。

  • 認知: 課題に気づいて、解決方法を探す
  • 理解: 解決策を比較し、理解を深める
  • 信頼: この商品・サービスなら信頼できそうと思う
  • 購買: 購入や問い合わせをする

【3】フェーズに合わせたコンテンツ・媒体を選ぶ

ステップ2で分けたフェーズごとに、適切な「コンテンツ」と「受け皿(媒体)」を用意します。

  • 認知: 記事(ブログ)、SNSのノウハウ投稿など。接触面を広く取って自社を見つけてもらいます。
  • 理解・信頼: より深い情報を掲載したホワイトペーパー(お役立ち資料)、事例記事、メルマガなど。「もっと知りたい」に応えるコンテンツを用意します。
  • 購買: サービス詳細ページ、問い合わせフォーム、無料診断など。顧客がアクションしやすい動線を作ります。

【4】コンテンツをつくる

設計図ができたら、実際にコンテンツを作りましょう。一度にすべてを作る必要はありません。まずは「入り口となる記事を数本」+「リード(見込み客)を獲得するための資料ダウンロードフォーム」という、最小限の動線(セット)を用意しましょう。

【5】検証する

アクセス解析ツール(Googleアナリティクスなど)を使い、どこでユーザーが離脱しているかを確認しましょう。

  • アクセス自体が少ない ➔ 認知(ステップ1〜2)のコンテンツの切り口や媒体を見直す
  • アクセスはあるが資料請求されない ➔ 資料の魅力やプロセスの見直し

結果を見ながらコンテンツを磨いていきます。初めから大成功のケースは少ないです。仮説と検証を繰り返しながらコツコツ進めていきましょう!

ここに注意しよう

成果が出るまでに「最低でも半年」はかかる
広告(アウトバウンド)のように、お金を払えば明日から見てもらえるものではありません。検索エンジンに評価され、認知が広がるまでには時間がかかります。忍耐づよくいきましょう。

自社が言いたいこと(売込)ばかり書く
自社製品をアピールするばかりのコンテンツは、ユーザーに敬遠されます。顧客となりうる人物が求める情報をストレートに提供しましょう。まずギブ(価値ある情報提供)を10回して、ようやく1回テイク(自社サービスの紹介)くらいのバランスが信頼を生みます。

【BtoCの成功事例】北欧、暮らしの道具店

「北欧、暮らしの道具店」(運営:株式会社クラシコム)。2007年開業、北欧ビンテージ食器の販売から始まったECサイトです。(楽天やAmazonなどの)モール出店はせず自社ECサイト1店舗のみで運営し、19期連続増収増益を達成。どんなインバウンドマーケティングをしているのでしょうか。

「読みもの」×「お買いもの」という設計

「北欧、暮らしの道具店」のトップページには「読みもの」と「お買いもの」が並列で配置され、ECサイトでありながら雑誌を読んでいるような気分になります。

例えば、「明日も早起きしたくなる。深緑色のティーマが変えてくれた、朝食ルーティーン」という読み物では、北欧食器の定番、iittala(イッタラ)の「Teema(ティーマ)」が登場。(実際のスタッフさんの食卓と思われる写真の中に)トーストと目玉焼きがティーマのお皿の上に載っています。

その写真とともに、

あれこれ盛り合わせなくても必要十分なサイズなので、「朝ごはんは簡単で大丈夫」と背中を押してくれているようです。

引用:「北欧、暮らしの道具店」【スタッフの愛用品】明日も早起きしたくなる。深緑色のティーマが変えてくれた、朝食ルーティーン  https://hokuohkurashi.com/note/1000000760

と記されていました。

これは、「品数を用意した方が、素敵な朝食、良いお母さん」という固定観念をやさしく取っ払う、読者をラクにしてくれる表現だと思いました。

うっかり他の食器とぶつけてしまって、ハッと焦っても大丈夫。
ぽってりとした程よい厚みが「まかせて〜」とおおらかに受け止めてくれているようです。

↑食べ終わってシンクにお皿をもっていくところで、少しぶつけてしまったシーンです。華奢でシックなお皿とは違って、日常使いを安心してできることがこの文章でよく伝わりますね。

ひとつの食器を買うシーン(購入しようとしたときの気持ち)から、いろいろな料理を載せてみたときの見え方、片付けまで。ひとつの食器にストーリーが付いていることで、自分が体験しているような気分になります。

独自のカルチャーと共感

「北欧、暮らしの道具店」のペルソナは、どんな人なのでしょう。「日々の暮らしの中で、小さなご機嫌や心地よさを大切にしたい」30代〜40代の女性です。結婚や出産などでライフステージが変わり、流行などを追い求めるのではなく、自分が心地よいと思う暮らしに目を向けはじめた人。

キラキラした暮らしではなく、「バタバタな朝を乗り切る時短朝ごはん」など、「等身大の、ちょっと不器用な日常」を描く読みのものが並びます。

実は「北欧、暮らしの道具店」のスタッフさんの8割は、「元お客さん」だそうです。これは、「北欧、暮らしの道具店」の世界観を守ることにとても効果を発揮しているのではないでしょうか。

網羅的なチャネル戦略

先ほどのECサイトに加えて、さまざまな媒体でコンテンツを発信しています。

  • Instagram 166万人フォロワー
  • Youtube:107万人登録者数
  • ポッドキャスト:3万人

どのチャネルでも「北欧、暮らしの道具店」という一つの世界観を感じることができます。

まとめ:世界観と共感でつながる

読みものの視点や表現、写真の雰囲気。細部に「北欧、暮らしの道具店」の世界観が溢れていてすてきだなと思いました。わたしも、丁寧なくらしに憧れて土釜を買ったことがあるのですが、そのときの気分を思い出しました。

「共感でつながるコンテンツ」というインバウンドの精神において、最高のお手本ですね。

【BtoBの成功事例】クラウド会計ソフト freee

freeeが2012年の創業から日本で初めての「クラウド会計ソフト」として2012年に誕生しました。「クラウド会計ソフト」のパイオニアとして瞬く間に有名になった背景にも、インバウンドマーケティング戦略がありました。

膨大な「手続き」の検索需要に先回りした、圧倒的なSEO戦略

freeeが仕掛けたフックは、自社が運営するオウンドメディア「経営ハッカー」をベースとした強力なSEO(検索エンジン最適化)です。「確定申告 やり方」「青色申告 メリット」「会社設立 手続き」など、個人事業主や小さな会社の経営者が検索しそうなキーワードで、検索結果ランキングを独占。最初のタッチポイント(認知)を大量に作りました。

「無料ツール」への動線設計(爆発的なリード獲得)

上記の解説記事を読んだユーザーに対して、「資料請求」という動線はつくりませんでした。freeeが用意したのは、完全無料の「手続き支援ツール」です。ステップ通りに入力するだけで、開業届や設立書類が無料で作成できます。

これにより、開業タイミングのユーザーと接点を作れました。そして、彼らがその後に必ず必要とする「日々の会計・確定申告」のタイミングで、そのまま有料版のfreeeへ移行してもらえました。

※余談ですが、開発当初freeeは会計士などの専門家に意見を聞いて回ったそうですが、評価は散々だったそうです。それでも、自分たちが信じる道を突き進んだ先に、今のFreeeがあります。こういうストーリーって、胸熱ですね。

まとめ:freeeのインバウンドマーケティング構造

「認知」 ➔ 税金や手続きの疑問を「検索」し、経営ハッカー(ブログ記事)に到達。 「理解」「信頼」 ➔ 「freee開業」などの無料ツールを使い、システムの便利さを体感。 「購買」 ➔ 確定申告や決算の時期に、そのまま有料プラン(月額・年額サブスク)へ移行。

「ユーザーの行動導線」がきれいに設計されたインバウンドマーケティングのお手本ですね。

まとめ:共感や信頼を土台にしたインバウンドマーケティングは強い

昔は、企業だけが情報発信できる時代でした。今は、ほぼ全員がスマホを持ち、自分から情報を取りに行く時代になりました。発信者が信頼できるかどうか、情報が正しいかどうか、見極める力を個人個人が持ちつつあります。

そんな時代だからこそ、誠実にコツコツと有益な情報発信する企業は信頼されます。

しかしながら、魅力的なコンテンツづくりや、それを継続することはとてもパワーが必要です。(目の前の業務に時間を取られて、情報発信を後回ししてしまう企業は多いですね。)

FitDesignでは、認知から購入・成約に至るまでの動線設計を行い、最大限の効果をねらうコンテンツ制作をサポートしています。「自社ならどんな集客のしくみが作れるだろう?」と気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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